乳がんは乳腺に発生する悪性腫瘍で、早期であれば手術と薬物・放射線治療によって治療が可能です。しかし、乳がんの特徴として、診断時点で微小ながん細胞が体内に存在することがあり、これが後に再発や転移として現れることがあります。今回は、乳がんの転移先と症状について、メディカルドック監修医の医師がわかりやすく解説します。
乳がんの再発には2種類ある
乳がんの再発は大きく「局所再発」と「遠隔転移」に分けられます。
局所再発:手術した乳房や胸壁、皮膚、そして乳房周囲のリンパ節に再発するケースです。脇の下や鎖骨周囲、胸骨横のリンパ節も対象となります。
遠隔転移:乳房から離れた臓器や組織にがんが現れるケースです。血液やリンパ液の流れに乗って転移が起こることがあります。診断時点で遠隔転移がある場合はステージ4となります。
転移しやすい部位と症状
乳がんは血流やリンパの流れに沿って転移するため、以下の部位が特に注意されます。
1. 骨
約30%の患者で最初に骨に転移することがあります。背骨、骨盤、大腿骨、上腕骨、肋骨、頭蓋骨などが多く、膝以下や肘先はほとんど影響を受けません。痛みや荷重時の骨折、進行するとしびれや麻痺の症状が現れることもあります。
2. 肺
血流やリンパを通じて肺に転移することがあります。初期は無症状のことが多いですが、進行すると長引く咳や息苦しさが現れます。
3. 肝臓
「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓は、症状が出にくいのが特徴です。進行するとお腹の張り、黄疸、食欲不振、体重減少などが見られます。
4. 脳
脳への転移では、頭痛、めまい、嘔吐などが現れる場合があります。転移部位によっては麻痺やけいれん、意識障害を伴うこともあり、緊急性が高い場合があります。
5. リンパ節
乳房から少し離れたリンパ節にも転移することがあります。首のリンパ節などが腫れることがあり、症状がある場合は乳腺科での診察が推奨されます。
転移が疑われる場合の対応
遠隔転移がある場合、原則として手術は推奨されず、全身に作用する薬物治療が中心となります。症状の緩和や診断目的で手術を行うこともありますが、医師と相談して適切な治療方針を決めることが大切です。
受診の目安
乳がんの転移は部位によって症状が異なります。痛み、しびれ、息苦しさ、黄疸、頭痛などの症状が続く場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。再発や転移は早期発見が重要で、専門医と連携した検査・治療が必要です。
まとめ
乳がんの再発には局所再発と遠隔転移があり、治療の方針は大きく異なります。局所再発は治癒を目指しますが、遠隔転移では進行を抑え、症状を和らげながら長期生存を目指す治療が中心です。気になる症状がある場合は、担当医や医療スタッフに相談し、早めの対応を心がけましょう。
